弾話は、肢体不自由で明瞭な発話が困難な方が自然な会話を行えるよう支援する「コミュニケーション支援アプリケーション」です。
このページでは、弾話の特徴や利用イメージ、開発の背景や体制などをご紹介しています。
※弾話は、ニューメディア開発協会の委託事業として開発しました。
難病や障害のために明瞭な発話ができず、尚かつ運動機能にも障害があり一般的なキーボードやマウスでの入力操作が困難な方を対象としています。
上記のような方は、家族など通常接している一部の人を除くと、自由な会話(コミュニケーション)が困難な場合が多々あります。
このような方のコミュニケーションを支援するために、いわゆる意思伝達装置があり、最近ではパソコンを使った様々な製品が提供されています。しかし、従来の製品は、あらかじめ登録された定型文・例文を利用者が選択して意思伝達するというのが基本的なスタイルです。日常生活で必要度の特に高い表現はカバーできるものの、例文が十分でなかったり、自由文を表現しようとすると操作手順が極端に多くなり負担になるなどの問題が見られます。その結果、会話相手によって表現やニュアンスに違いをつけるような自由な表現を行うことが難しく、利用者は強い制約の元でコミュニケーションをとらざるを得ないという現状があります。
弾話は、このような方々ができるだけ少ない操作手順で自由度の高い会話を組み立てられるようにする事を目的に開発されたものです。重度障害者や難病患者の方々が様々なシチュエーションで自然な会話が出来ること、会話の困難を克服して積極的に外出し活動することを支援したいと考えています。
生活の中で弾話をコミュニケーションに利用するイメージをご紹介します。1つの例として、在宅療養中で時々病院に通うという生活をしている方を想定した場合の弾話の利用シーンイメージです。
朝起きると同時に、お母さんにノートパソコンの電源を入れてもらうと、弾話のスケジューラが自動的に立ち上がります。今日は午後2時から病院に行って診察をしてもらう日です。先週予定が決まってすぐにスケジューラに登録しておいたので、カレンダーに印が付いています。
そういえば、友達のA君が訪ねてくるのは、今日だったっけ?、明日だったかな?
弾話のコミュニケータを起動させ、質問文を作って音声で出力。お母さんに聞いてみます。「A君が来るのは今日だっけ?」
「今日の昼だよ」ということなので、さっそくスケジューラのその時間に「A君・家・雑談」と登録しておきました。
ちょうど正午頃、友達のA君が訪ねてきました。コミュニケータを使おうとすると、スケジューラに登録した時間なので「相手欄」が「A君・家・雑談」に切り替わっています。A君とはひとしきり共通の趣味であるサッカーの話で盛り上がりました。弾話は会話をする相手や場所、目的に合わせて、単語や文章を予測例示してくれます。例えばA君と話す時は、サッカーチームの名前や選手の名前が候補の上の方に出てくるので、なかなか便利です。
A君が帰ったので、病院へ行く準備です。今度は、コミュニケータの「相手欄」をお母さん用に切り替えて会話をします。お母さんとの会話によく使う言葉や文章が、候補の上の方に出てくることが多いので、少し待ってもらうだけで伝えたい文章を作ることができます。先生に伝えて相談するべき体調のことなどをお母さんと相談して整理しました。
病院へ行くときも、弾話の入ったノートパソコンを持っていきます。先生のところへ到着するころには、スケジューラに予定を入れた時間になって「相手欄」は「先生・病院・診察」と切り替わりました。体調を説明する文章は、普段からよく使っている表現だし、出かける前にお母さんと先生に説明する内容を弾話を使って相談したばかりなので、伝えたい文章が少しの操作ですぐに候補に出てきます。症状の複雑な説明や、先生の質問への受け答えを弾話を使ってスムーズにおこなうことが出来ました。
弾話は、Windowsパソコンで動作するアプリケーションです。
弾話を利用するために必要な機器についての詳細は、ご利用の前にをご覧ください。
弾話はコミュニケータとスケジューラという2つのアプリケーションを動作させて利用します。コミュニケータは、会話の際の発言内容を作成するために利用するもの、スケジューラは会話相手との対話スケジュールを事前に登録するために利用するもので、両者は連係して動作します。また、コミュニケータ単独で会話に利用することも可能です。

オートスキャンによるワンスイッチ操作、スキャンのスタートとストップを利用者がコントロールするツースイッチスキャン操作に対応しており、一般のキーボードやマウスが利用できない方でも身体条件にあった入力装置を用いて操作できます。ポインティングデバイス(マウス、トラックボールなど)、キーボードのいずれか1つのキーでの操作も可能です。
肢体不自由者向けパソコン操作・日本語入力ソフトウェアPete(ピート)の単語予測機能を継承しており、単語の読みの一部からその単語を予測する他、過去に使われた語順の記録から次に入力される単語を予測します。このため、ひとつの単語を確定すると、「1文字も入力しないうちに」次に来る可能性の高い単語が候補として例示されます。またIMEと連携した単語および語順の自動学習も行うため、使えば使うほど利用者に合った単語を予測するようになります。
単語だけでなく、会話文も予測するため、より速く言いたいことを伝えることができます。例えば、過去に発言したことのある文章を発言したくなった場合に、最初のひとつふたつの"ひらがな"を選択するだけで、文章予測候補から即座に文章を選択し、即座に発言するというようなことが可能になります。

その時の対話相手や状況に最適な単語候補、文章候補を例示することを目指し設計されており、いつ、誰と、何処で、何の為にというシチュエーション情報を設定してから会話を行うことで、予測例示の精度が一層向上していきます。

会話文を作成している画面を対話相手に見せることでコミュニケーションを行えるほか、入力した会話文を音声出力したり、外部の表示機に表示したりすることができます。

アライド・ブレインズは、肢体不自由者向けパソコン操作・日本語入力ソフトウェアPete(ピート)を、ソニーコンピュータサイエンス研究所の増井俊之氏が開発された「POBox」の単語予測技術をベースとして開発・提供しています。弾話の会話予測エンジン機能およびインターフェイス機能は、このPeteプログラムの一部の発展・拡張によって開発されています。
障害者用日本語予測入力ソフト「Pete」との関係や違いについてご説明します。「Pete」の詳細は、PeteWEBコミュニティーをご覧ください。
弾話は「Pete」の単語予測アルゴリズムを用いて開発されていますが、ソフトウエアの開発目的・使用者対象・機能は異なります。
「Pete」は他アプリケーション、例えばテキストエディッタやMS-WORDなどに入力したデータを渡すことで、日本語文章入力ができるような目的で開発したソフトで、他アプリケーションと組み合わせて使うことが前提となっています。
一方、「弾話」はコミュニケーション支援に特化した1つのアプリケーションとして単独で機能が完結し、「Pete」のような他アプリケーションとの連携したり、Windows操作の補助をおこなうことは出来ません。
「Pete」と「弾話」の予測アルゴリズムは基本的に同じになっていますが、記録する情報に違いがあるため、異なるデータフォーマットとなっています。
ただし「弾話」の予測エンジンは「Pete」からでも使えるように汎用性を持たせて開発しています。将来はPeteと弾話を融合させ、Peteから1アプリケーションとして弾話に入力できるようにし、さらに辞書を共有化することが望ましいと考えています。これは今後の課題です。